3.4. 科学のプロセス : ラクトース不対象の遺伝的根拠は何か
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ラクターゼという酵素も他のすべてのタンパク質と同じくDNAの遺伝子によってコードされている ラクトース不耐症のもっともらしい仮説は、その人のラクターゼ遺伝子に欠陥があるだろうということだった しかし、その仮説は観察と一致しない
不耐症の人の殆どは正常なラクターゼ遺伝子を持っている
このため、ラクトース不対象の遺伝的仕組みはどうなっているのかという疑問が提起された
2002年にフィンランドと米国の研究者がラクトース不耐症がある染色体の特定の部位の1個のヌクレオチドの違いと対応しているという仮説を提案した
彼らの研究によれば、この違いはラクターゼ遺伝子の内部ではなくてもその地殻にあるだろうと予測した
彼らの実験では、フィンランドの9家族196人のラクトース不対象の人たちの遺伝子を調べた
その結果、ラクターゼ遺伝子から約1万4000ヌクレオチド離れた部位(染色体全体から見れば比較的短い距離に相当)に1ヌクレオチドの違いが100%の確率で見つかった
別の研究によれば、DNAのこの領域のヌクレオチド配列に依存してラクターゼ遺伝子の働きが活発になったり不活発になったりする
その仕組はラクターゼ遺伝子の近くのヌクレオチドと相互作用する調節タンパク質の合成を含む
訳注: 最近の研究では11章で述べるエンハンサーの変異と考えられている この研究は、DNAのヌクレオチドのわずかな変化が、タンパク質の生産や生物の適合に大きな影響を与えうることを示している